300冊読んだ本の中から、新人のときに読みたかった5冊を厳選してみた。

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大学を卒業して、システムエンジニアとして就職し、すでに7年目に入ろうとしている。

 

その間、多くの本を読んできた。

1月に4〜5冊は読んでいるので、300冊以上は読んだだろうか。

 

そしてここ最近、

『この本、新人のときに読みたかったなぁ』

と思える本に出会うことが良くある。

 

今回は、そんな本の中から5冊を厳選してみた。どれも今すぐ実践でき、役に立つ事間違いなしの本だと思う。

 

1.最強の働き方 世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓

 

仕事で最も大切なのは

『時間内にゴールまでたどり着くこと』。

120点を取る必要はないし、最短記録を狙う必要もない。


そして、時間内にゴールまでたどり着くには、難しい知識や方法論よりも、当たり前の基本動作が重要になることが多い。

 

筆者曰く、

『ビジネススクールでモンテカルロシミュレーションを学ぶより、メールを一瞬で返したほうが出世は早いし、

マーケティングの4Pでぶつぶつチャートをつくるより、目線を高くして、顧客の期待を上回る心構えを持つほうが大切』

なのだ。

 

言われてみれば当たり前のことだが、新人の時は右も左もわからずに、難解な方法論を使いたくなってしまうものだ。

 

本書は、そんな難しいことに目が行きがちな新人たちに読んで欲しい。

 

当たり前のオンパレードに思わずハッとすることだろう。

 

例えば、本書に書いてあるのは、

  • メールは極力シンプルに、そして即リプライを心がける
  • できる人ほど、鉄壁のメモ取り魔
  • 『フレームワーク、MECE、ロジックツリー』よりも『感情を揺さぶるどうしても伝えたいこと』のほうが重要。
  • 時間厳守、早起き。
  • どれほど忙しくても、十分な勉強の時間を確保する

など、至極ごもっともなことばかりだ。ただそれゆえに、忘れがちなことでもある。

 

新人のうちは、仕事を難しく捉えてしまいがちだ。しかし実際は仕事で大事なのは基礎、それこそ『当たり前のこと』だったりする。その当たり前の積み重ねがお客様との信頼を築き、お金を生むのだ。

 

ぜひとも本書を片手に社会の荒波に飛び出していって欲しい。

最強の働き方 世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓

 

2.ゼロ秒思考

 

『考え方が浅い』『もっと深く考えろ』。そう言われて、フレームワークや思考本の本を手にとってしまった新人はいないだろうか?


もう遅いかもしれないが、おそらくその本を読んでも何も変わらない。フレームワークの本を少し読んだからといって、深く考えられるようになるわけがないのだ。

なぜなら、深く考えることができない人に不足しているのは、『考えるための”道具”』ではなく、『考えるための”トレーニング”』もしくはそもそもの『前提知識』だからだ。

 

本書は深く考えるためのトレーニング法を伝授してくれる本だ。具体的には、思考の質とスピード、両方の到達点を『ゼロ秒思考』と定義し、そこに至るまでのトレーニング法が書いてある。


そのトレーニング法とは「頭に浮かぶことを次々とメモに書く」だけ。ただし、A4用紙を横長にして手書きで1件1ページ、1分以内で書く。それを毎日10ページ書く。

 

非常に地味なトレーニングではあるが、ぜひとも本書で詳しいやり方やベースとなる考え方を理解して、継続してほしい。

数週間でかなりの効果を実感できるようになるはずだ。今まで言語化することが難しかった「頭の中のモヤモヤ」を簡単に言葉にして伝えることができるようになる。そしてこの能力によってスピード感を持って仕事を進めていくことができるようになるはずだ。

 

一つ注意したい点がある。本書はトレーニング法を教えてくれる本なので、読んだだけで深く考えられるようにはならない。思考の質は、先に書いたトレーニング法を、地道に、コツコツ継続することで磨かれていく。

ゼロ秒思考

 

3.ブライアン・トレーシーが教える 最強の時間

 

「とにかく時間がうまく使えない」「いくら時間があっても足りない」という悩みを持っている新人も少なくないだろう。

処理しきれないほどタスクが山積みになり、先輩に助けてもらった経験もあるのではないだろうか?

 

この悩みを解決するには3つの方法がある。それは、

  1. 思考の質とスピードをあげること(ゼロ秒思考。思考の堂々巡りを回避する)
  2. 知識を身につけること(調査にかかる時間を削減する)
  3. タイムマネジメントスキルを身につけること(時間のムダを削減する)

ということだ。

闇雲にタイムマネジメントスキルだけを身に着けてもしょうがないし、かといって知識や思考の質を向上させるだけでは不十分だ。(より多くのタスクを処理するためにはタイムマネジメントスキルが必要になるだろう)

タイムマネジメントはあくまで『スキル』だ。具体的な方法論があり、それを学び、実践を通じて身につけることができる。例えば以下のような方法論がある。

  • タスクリストを作成する(タスクの見える化)
  • 各タスクの目標(ゴール)を明確化する
  • 大きなタスクは扱いやすい大きさに分割する(困難は分割する)
  • タスクには優先度をつけ、優先度の高いタスクから手をつける(もっとも重要なことが、もっとも重要でないことに翻弄されてはならない)
  • 苛立ちを感じたり、何かの困難にぶちあたったときはタスクリストを見直す
  • 誰かに任す事ができるタスクはすべて人に任せる
  • その日のやることリストをつくる
  • その日のタスクに取り掛かる前にやることリストをもう一度見直す(やる必要がないタスクが含まれていないか?)
  • デスクの整理整頓をする(優秀なシェフは、調理の前後にキッチンをきれいに片付ける。)

いずれも本書に書いてある強力な方法論だ。本書を繰り返し読み、実践を通して身につけていって欲しいと思う。

タイムマネジメントスキルを身につけることで得られるのは仕事をこなすスピードだけではない。
時間をうまく使うことができれば、それは自信につながる。家族と過ごす時間やプライベートの時間を通して多くの喜びや満足を得ることができるだろう。

ブライアン・トレーシーが教える 最強の時間

 

4.東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法

 

就職して6年も経つと、新人の相談を受けることも出てくる。その中で最も多い相談は『圧倒的な知識不足』に悩んでいる、という内容だ。しかしこればっかりは「勉強しよう」としか言えない。ただひとつ言えるのは、「”効率良く”勉強しよう」ということだ。

本書は東大主席合格、大学在学中に司法試験合格を成し遂げた筆者の勉強法を紹介してくれる内容になっている。
概要としては、『本を読むときは最初から完璧を目指すのではなく、最初はサラっと読み、だんだんと深く、複数回読むことで、効率良く知識を習得することができる』という方法論だ。もう少し具体的な数字を挙げると、1冊30分で読み終え、7周する(7回読み)ことを提言している。僕は職業柄、新しい製品の勉強をしないといけない機会が良くあるが、この方法論は大いに役立っている。(僕の職業はシステムエンジニアだ)

新人のとき、というか高校受験、大学受験のときに出会いたかったと思える本だ。

東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法

 

5.僕はこうして、苦しい働き方から抜け出した。

 

仕事が辛いと感じてはいないだろうか?僕は新人のとき、とにかく仕事が辛かった。特に2年目は辛かった。辞めたいと思わなかった日はなかったと思う。そんなときに出会ったのがこの本だ。

本書には、うつ病になったこともある著者の経験を元に、著者がどのようにして苦しい働き方から抜け出したのか?といった話が書いてある。
「もうダメだ。もう無理。転職してやる。辞めたい。」そう思ったときはぜひこの本を手にとって欲しい。著者の経験を元に語られる言葉を読んで、「もう少し頑張ってみよう」と思えるかと思う。

僕が個人的に一番好きな話は「前後裁断」の話だ。

人間のすべての悩みは過去か未来から発生する。目の前の仕事が嫌なのは、「また突き返されるんだろうな。また怒られるんだろうな」という未来に悩みがあるからだ。もしくは、過去にうまくいかなかった経験がフラッシュバックするからだ。そういった過去や未来にとらわれるのではなく、『いまここ』に100%集中する。そうすることで道を切り開いていくことができる。
という話だが、この話には非常に思い入れがある。
当時、突き返されても、怒られても、『いまここ』『いまここ』と言い聞かせて何度もタスクをやり直し、最終的に仕上げた仕事が僕にとってのブレイクスルーになったからだ。

この本を読んでも仕事が楽しくはならない。だが、いい意味であきらめがつく。前向きに頑張ろうという力が湧いてくる。辛くなったらぜひ読んで欲しい。

ただ、言うまでもないがパワハラは別だ。指導とパワハラを混同している人間も少なくない。その場合は社内の窓口に相談したり、どうしようもなければ転職も視野にいれるべきだと思う。

僕はこうして、苦しい働き方から抜け出した。

 

おまけの一冊

6.AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である

 

AI弁護士「ROSS」はご存知だろうか。アメリカの大手法律事務所が採用した世界初のAI弁護士だ。

何か質問をすると、大量の法律文書や参考文献を読み込み、最適な回答を導き出す。質問をすればするほど習熟度高まり、回答の質はより高まっていく。つまり「学習」をするのだ。
これは本書で紹介されている事例だが、僕は衝撃を受けた。なんと弁護士という職業までも、AIが一部の業務をする時代になってきているのだ。

今後、人間はAIに使われる側の人間と、AIを使う側の人間の2パターンに別れる。そのとき、AIを使う側の人間側にいるにはどうすればよいか?

この問いに対する一つの回答を本書は示している。

ここで紹介した本と少し毛色が変わるが、今後を見据えてぜひ読んでおきたい本だ。

AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である