四角大輔に学ぶ『自由を手に入れるための会社との向き合い方』

ニュージーランドの湖畔をベースにしてノマドライフを実践している四角大輔さん。現在の暮らしから察するに、若い時から相当とんがっている人生を送っていたように思えるが、30代後半までの彼の経歴を見ると至ってフツウの会社員だ。彼は新卒で入社したソニーミュージック、ヘッドハントで入社したワーナーミュージックにて計14年と9ヶ月勤務を続けた。自由をここまで大切にする彼がなぜ会社員からキャリアをスタートさせたのか、そしてなぜ14年9ヶ月も「会社員」を続けたのか、彼が住むニュージーランドの絶景とともに、彼の著書からその哲学を探る。

 

自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと

自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと

 

 

「ひどい20代だった」

「今思えば、ひどい20代だった」。彼自身が20代を振り返って言うこの言葉は印象的だ。子供の頃から人と話すのが苦痛、雑談は続かない、もちろん接待はできない、周りの目が怖い、にもかかわらず名だたる大企業でサラリーマンを続けた彼。

過度のストレスで原因不明のじんましんや咳、顔面麻痺、歯ぎしりで奥歯が割れ、駅のホームで意識を失う・・・

「大人は誰だって苦しい」「社会人になると自由なんてない」「みんな生きてくために必死なんだ」、そう自分に言い聞かせてひたすら我慢して頑張っていた。

ただ、心の声は「なにかおかしい」とずっと叫んでいた。一刻も早くこの場所から逃げ出したい。そんな気持ちでいっぱいだったという。

 

▼世界遺産、ミルフォードサウンド。

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出典:http://eco.his-j.com/eco/tour/TF-IZN0003-8

 

自分にはもっとやりたいことがある。かといって、なんの準備もせずに会社を辞めれば、きっと後悔する。

ただ、そんな彼はこう言う。「自分にはもっとやりたいことがある。かといって、なんの準備もせずに会社を辞めれば、きっと後悔する」。

カーっと熱くなって、いきなり会社を飛び出すのは、準備もなしにフルマラソンに挑戦するのと同じ。途中で倒れるのは間違いない。日常業務をこなしながらその傍らで、トレーニングを兼ねて少しずつやりたいことに取り組んだっていいじゃないか。

 

いきなり辞めたってうまくいかない。だから、しっかり準備をしよう。

会社を辞めたいと思ったら、まず余計な付き合いや買い物を全てやめよう。生活レベルを下げて、どこまでミニマムライフコストを下げられるかを実験しよう。

それから今いる場所で、どこにいっても通用するマナーとあらゆる職種で活かせるベーシックスキルを身につけることに専念しよう。給料をもらいながら、勉強させてもらえると考えれば、つまらないと思っていた業務が”教材”に変わり、不愉快な上司は”教官”に見えてくる。

その上で挑戦してみたい分野で活躍している人にあって、話を聞いて、自分のことを少しだけプレゼンしてみる。

そうやってシミュレーションを重ねながら自分のイメージを固めていく。でも焦るな。たった一つでいいから今いる場所で成果を出す。「ダメだったからやめる」だと、ずっと負け犬気分が抜けないまま。何も残さずに仕事をコロコロ変えたって、きっといつまでも変わらない。

 

▼善き羊飼いの教会。

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出典:http://find-travel.jp/article/25108

 

会社員生活の間に自分の夢を見定める。

「本当にやりたいことは、見たことも聞いたこともないところには存在しない。それは自分の内側にだけ存在する。自分のルーツへとつながろう」と彼は言う。

幼いころにワクワクしていたこと、知りたいと思っていたことは何か。そんなごく小さな”衝動”を思い出す。そしてくだらないことでもいいから、とにかく衝動を行動にうつす。

やりたいと思ったらすぐはじめてみる。その決断に”アタマ”を介在させてはいけない。「好きな映画を観まくりたい」とか「夕焼けを日没まで見たい」とかなんでもいい。

ささやかな欲求を解放すると、その欲求がまた別の欲求を連れて来てくれる。

やがて自分のほんとうの欲求はなんだったのかが、だんだんわかってくる。

 

長い準備期間の間に忘れていた「夢」を思い出す。そして忘れない。

実は夢はあきらめるより、忘れてしまうことのほうが多い。安定した日常に慣れてくると、このままでも悪くないなと思わせる誘惑がいっぱいあるからだ。そんなノイズが夢を忘れさせる。

 

だから、常に夢を忘れない仕組みを生活の中に作る。

リビングには夢を彷彿させる絵を、ベッドには夢につながる大きな地図を、iPhoneやMacBookの壁紙には夢を象徴する画像を貼り付けて、本棚の一等地には夢に近づくための本を並べる。

『10年以上忘れずに、同じテンションを維持できれば、夢は惹き寄せられてくる。必ず叶うから』。彼はこう言う。

会社員という準備期間は、長くなる。その間にさらされるノイズに夢を奪われることなく、自分の心に向き合い、イメージを固めていく。決して焦らずに。

 

14年9ヶ月の会社員生活は準備期間だった。

 彼にとって14年9ヶ月の会社員生活は「ニュージーランドの湖畔で暮らしたい」という彼自身の夢を叶えるための準備期間だった。給料はそれなりに上がったが、高級車を買うでもなく、家を買うでもなく、弁当を持参して、無駄を徹底的に切り詰めた。ライフコストをギリギリまで下げた。

ニュージーランドの永住権を手に入れるために必要な英検一級程度の英語力を必死になって身に付けた。勉強は大っ嫌いだったけど。

絢香、Superflyという超大物アーティストをプロデュースしていた彼は仕事でも大きな成果を残している。「ニュージーランドに移住する」そう周囲に発信し続けていたが、仕事にもしっかり向き合ったのだろう。だからこそ痛い目にあいつつも、15年近くの会社員をやり続けることが出来たのだと思う。

 

 ▼ワカティプ湖

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 出典:http://find-travel.jp/article/25108

 

心の声に耳を傾け『自分』の幸せを形にする

彼は人生についてこう語る、

『人生はルールのない旅。安心感が欲しくて、あえて重い荷物を持つのか。自由を感じたくて、荷物を減らしていくのか。人によって楽しみ方はそれぞれだと思う』

安心感、自由、人によってその言葉の定義は違うけれど、おそらくその2つの言葉の間にはトレードオフの要素がある。

焦らなくていい。自身の会社員というキャリアの中で、自分の夢のイメージを固めながら自分の選択をすればいい。

自分が見たい景色を目指して、無理のない小さな歩幅で、ひたすら歩き続ければいいのだ。

 

▼ミラー湖

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 出典:https://retrip.jp/articles/3331/

 

自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと

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